失業保険の待機期間は、よく「給付制限」と混同してしまいがちです。
- 待期:受給資格決定日から7日間のこと。この期間に労働したり就職すると受給資格がなくなる。
- 給付制限:自己都合にだけ設けられた2ヵ月間のお預け期間のこと。
失業保険の説明をまだ受けていない人は、この給付制限のことを一般的に「待機期間」と言っていることが多いようです。
この記事では、一般的に「待機期間」と呼ばれるお預け期間(正しくは給付制限)について、解説します。
目次

待機期間は2ヶ月に更改
- 待機期間(給付制限)は以前は3ヶ月だった。
- 令和2年の10月から2ヶ月に更改された。つまり現在は2ヶ月となっている。
失業保険の待機期間は以前は3ヶ月でしたが、現在は2ヶ月となっています。
もし、令和2年10月より前に失業保険をもらったことがある人から話を聞くケースがあると、その人はおそらく「3ヶ月」と言うかもしれません。
現在は2ヶ月となっているため、自己都合で仕事を辞めた人でも失業手当を受け取りやすくなったと言えます。
失業保険の待機期間とは
- 失業保険は、もともとは会社都合で辞めさせられた人の生活を救済することが目的。
- ただし、自己都合で辞めたものの、なかなか就職が決まらない人の生活も救済しようということになっている。
- 待機期間があることで、繰り返し仕事を辞めては失業保険を受け取るような制度の悪用を防ぐ効果もある。
失業保険の待機期間は、自分の都合で仕事を辞める人が続出することを抑制する効果があります。
もし待機期間が無い場合は、失業保険をすぐに受け取ることができるため、「勤めては辞めて」を繰り返して失業手当を不当に受給するような失業保険制度の悪用をする人も出てくるでしょう。
待機期間があるおかげで、失業保険制度の悪用をある程度は抑制することができています。
自分の意思で辞めるからには、それなりの準備を自分でしておく必要があるということになります。
会社都合は待機期間なし
待機期間(給付制限)は、自己都合で退職した場合にだけ設定される制限期間です。
そのため、会社都合の場合は待機期間(給付制限)なしということになります。
会社都合になるのは、倒産や解雇、リストラなど、自分の意思とは関係なく辞めさせられた場合です。
つまり、仕事を辞める準備ができないまま失業した人には、できるだけ早く失業手当を支給する仕組みになっています。
待機期間はいつからか
- 待期:受給資格決定日の翌日から始まる。7日間。
- 待機期間(給付制限):待期が明けた翌日から始まる。2ヶ月間。
待機期間(給付制限)は、受給資格決定日から7日間の「待期」が明けた翌日から始まります。
待機期間はいつまでか
待機期間は、始まった日から2ヶ月後の同日までとなります。
しかし、待機期間が明けたからといって、すぐに失業手当が支給されるわけではないことに注意しなければなりません。
自己都合の場合に最初に失業手当が支給されるのは、受給資格決定日から実質3ヶ月後になります。

自己都合の場合は、失業手当が支給されるまで3ヶ月間を自力で乗り切れるだけの貯蓄が必要です。
待機期間に就職活動してもよい
- 待機期間(給付制限)に就職活動してもよい。
- 失業認定で待機期間におこなった求職活動を申告しなければならないので、むしろ就職活動をしなければならない。
- 待機期間に就職すると、失業手当を受け取る前に就職することになるが、再就職手当として支給されることになる。
待機期間(給付制限)に就職活動をしてもかまいません。
というより、待機期間が明けたあとの失業認定で、求職活動を2回おこなったことを申告する必要があります。

求職活動が2回に満たない場合は失業認定されず、失業手当の支給が次回に持ち越しされてしまいます。
そのため、待機期間に何らかの就職活動をしておいたほうが良いと言えます。
待機期間中に面接する
待機期間中に面接すると、その面接が求職活動になります。失業認定で、求職活動1回分として申告できます。
失業認定では2回の求職活動を申告する必要があるため、待機期間であっても応募や面接などの就職活動をおこなっておく必要があります。
待機期間中に内定・就職すると
待機期間中に内定・就職すると、失業手当の受給資格がなくなります。
そのかわり、再就職手当として支給されます。
再就職手当は、失業手当の総額の6~7割ですが、一時金としてまとまった金額を受け取ることができます。
とくに一人暮らしをしている人にとっては、待機期間に貯蓄をすり減らしながら過ごすよりも、再就職手当をもらうほうが有難いかもしれません。
待機期間は何をする必要があるのか
- 待機期間(給付制限)は、求職活動をしておくと良い。
- 待機期間が明けたあとの失業認定で、求職活動2回分を申告する必要があるため。
待機期間に求職活動をしなければならないわけではありません。
ただ、待機期間が明けたあとの失業認定で、求職活動2回分を申告しなければならないため、待機期間のうちに何らかの就職活動をしておくと良いでしょう。
待機期間が明けてから2回の就職活動をするのでは、失業認定までの日数があまりないため大変になります。
求職活動として認められる就職活動にはいろいろな方法があります。ハローワークで相談するのでも良いし、転職サイトを利用する方法でも求職活動になります。
転職サイトが実施するセミナーを受講する方法も、求職活動として認められます。
まとめ
- 失業保険の待機期間は以前は3ヶ月でしたが、現在は2ヶ月となっている。
- 自分の意思で辞めるからには、それなりの準備を自分でしておく必要がある。
- 待機期間(給付制限)は、自己都合で退職した場合にだけ設定される制限期間。そのため、会社都合の場合は待機期間(給付制限)なし。
- 待機期間は、始まった日から2ヶ月後の同日まで。
- 待機期間(給付制限)に就職活動をしてもかまわない。待機期間が明けたあとの失業認定で、求職活動を2回おこなったことを申告する必要がある。
- 転職サイトが実施するセミナーを受講する方法も、求職活動として認められる。