応募するたびに1社1社の志望動機を用意するのは手間だし、できれば使い回しできる都合のよい志望動機はないものか。と思ってしまう気持ちはわかります。でも、使い回しは絶対ダメ。
志望動機を恋愛に例えると、「なんで私なの?」ということです。告白してくれた人に「私(俺)のどこが好き?」と聞いたことがある人もいるでしょう。自分じゃなきゃダメな理由があるのなら、相手の気持ちはホンモノだろうと確証を得たうえで納得して付き合いたいわけです。
「あなたの給料が高いところに惹かれて」
と言われても困ります。そうじゃなくて、自分にしかない魅力を言ってもらえたら納得できるはずです。
企業側も同じ気持ちで志望動機を聞いています。「同業の他社もあるのに、なんでうちの会社なの?」というところを答えるのが志望動機です。そのため、その企業にしかない魅力(強みや特徴)をリサーチしておく必要があります。
目次
なぜ志望動機を聞くのか
- 業務に合っている人材かどうかを見定めたい。
- 仕事内容を理解してくれているのか確認したい。
- やりたいことがある場合、うちの会社で実現可能なのか判断したい。
企業側が志望動機を必ず聞いてくる理由は、応募者が本当に業務に合っている人材かどうかを見定めたいからです。企業側が恐れているのは次の点です。
- 採用した人の能力を業務で十分に発揮させることができなかった。
- そして、結局は辞めることになってしまった。
こっちが「働きたい」って言ってるのに、なんでいちいち志望動機なんて聞いてくるんだろう。と思う人もいるかもしれません。でも企業側は、せっかく働いてもらうならその人の能力をフルに引き出したいし、できるかぎり勤続してもらいたいと考えています。
そのため、応募者は「なぜこの会社なのか」「この会社で何をしたいのか」という観点で志望動機を説明して、企業側の恐れを払拭してあげる必要があります。もし、この観点が抜けているときは面接であらためて聞かれるでしょう。
志望動機の形は決まってる
- なぜこの会社なのか。→ 同業の他社ではなく、なんでうちの会社なのか。
- この会社で何をしたいのか。→ うちの会社でどんな活躍ができると考えているのか。
志望動機をどう書けばいいのか。悩ましく感じるものですが、じつは形が決まっています。「なぜこの会社なのか」「この会社で何をしたいのか」を書けば、企業側の懸念材料を払拭してあげられます。
- 私は御社のことや業務について理解していて、それで御社を選びました。
- だから、経験やスキルを活かせるし、勤め続けていくことができます。
活躍と言っても、そんな大きな期待をされているわけではなく、経験やスキルをどういうふうに発揮できそうかというくらいのことです。しかし、20代の転職希望者が困るのはこの点です。経験やスキルが少ないため、活躍できることを説明しづらいのです。
そこで20代の転職では、キャリアプランを持っていることが重要になってきます。つまり、「今は経験やスキルが少ないけど、将来的にはこういうふうに活躍していきたいと考えています。」という説明をして、企業に納得してもらう作戦を取ることになります。
キャリアプランとは
将来に向けて、どういう専門性を身につけて、どうやってプロフェッショナルを目指していくつもりか。という職務経歴の設計または計画。
なぜこの会社なのか
- うちの会社に対して間違った認識を持っていないか確認したい。
- 仕事内容に対してどれくらい理解しているのかを知りたい。
志望動機には「この会社が自分に合っている」と判断した根拠を含めるようにします。それが、会社や業務に対する理解度の説明になるからです。
企業のウェブページには経営理念や社風、ビジョンなどの記載があるのでヒントになりそうですが、これを志望動機にできるなら全社で同じことができてしまいます。なので、企業側を納得させる志望動機にはなりません。
効果的なのは同業他社との比較です。業界や職種の動機は「興味があったから」で通用しますが、「御社を志望した動機」だけは、御社に惹かれた理由を言ってあげないと納得してもらえないのです。
「こういった点が他社にはない御社の強みであり、魅力的に感じました。」と伝えれば、企業側にも「それでうちの会社に応募したんですね。」と納得してくれるでしょう。
この会社で何をしたいのか
- どうやって能力を発揮しようとしているのかを知りたい。
- キャリアプランを持っているか知りたい。(←20代向け)
もう一つ、志望動機には「この会社なら自分はこんな風に働けそう」とイメージできたことを付け加えます。求人に書かれていた業務内容を見たときに、自然と働いている姿をイメージしていたかというところが大切です。
志望動機の受け答えのなかで「うちの会社で何をしたいですか。」と聞かれて困った経験がある人も多いはずです。何をしたいのかと言われても「え?言われたとおりに働きたいだけなんですけど。」と思う人もいるかもしれません。
企業側が懸念しているのは、応募者の能力が業務で十分に発揮されるかというところです。企業側を安心させるために、自分のこんな経験が活かせるかもしれない。自分のスキルがこんな場面で役立つかもしれない。というところを話してあげる必要があります。
志望動機あっての応募が筋
- 本来は、志望動機があるから応募する。
- 応募するために志望動機を用意するのは逆。
本来は、志望動機があるから応募するのが筋です。「この会社ならこういう仕事ができそうだ」という動機から、それを実現するために応募するわけです。
ところが、往々にしてこの順序は逆になりがちです。とくに「今の職場をとにかく辞めたい」という気持ちが強い場合は、応募が先になってしまうことが多いでしょう。
だから、辞めたい動機が志望動機になってしまう間違いが起こります。
応募する企業を探すときは、給与や待遇などの条件を見比べて探します。でも、条件に惹かれて応募したいと思ってから志望動機を用意するのでは、その動機は応募動機になってしまいます。
同じじゃないか。と思う人もいるかもしれません。しかし、その会社でやりたいことがあるから志望するのが自然であり、面接でも企業側はそれを志望動機として聞きたいと思っています。
そうすると、やっぱり次の方程式が成り立つことがわかります。
- その会社で = なぜこの会社なのか
- やりたいこと = この会社で何をしたいのか
志望動機の勘違い
- 志望動機に私的なことを含めている。
- 志望動機と退職理由を混同している。
志望動機の形を知らないと、勘違いして上のような志望動機を書いてしまいます。
私的なこと
- 家族のため:お若いのに大変なのはわかります。ても、家族を養えるならどこでも良いということになってしまいます。
- 家から近い:バイトなら大丈夫です。
- 結婚を機に:パートなら大丈夫です。
- 職場に不満:不満を持ちやすいタイプだと思われてしまいます。
- 学べるから:会社は学校じゃないのでダメです。学びたいなら学校へ行けば良いです。
志望動機に私的なことを含めてしまう人もいます。バイトやパートなら、このような理由でも構いません。
退職理由との混同
志望動機は退職理由と関係します。「現職(前職)では自分のやりたいことができなかった。だから転職する決断をして、やりたいことができる御社を選んだ。」というストーリーになるからです。
しかし、退職理由をそのまま志望動機と混同してしまう人も多いです。
- 「前職は給料が低くて。だから給料の高い御社を志望しました。」
- 「前職は残業が多くて。だから残業の少ない御社を志望しました。」
- 「前職は上司がひどくて。だから和気あいあいとした社風の御社を志望しました。」
こういう志望動機では採用されません。なぜなら「なぜこの会社なのか」「この会社で何をしたいのか」という企業側の懸念をまったく払拭できていないからです。
第二新卒の志望動機はキャリアプラン
経験やスキルを売り込みできない第二新卒の場合は、キャリアプランを話して企業側の懸念を払拭する作戦を取ることになります。第二新卒の志望動機のストーリーはおおまかに次のような流れになります。
- キャリアプラン:「自分はこういうふうにキャリアを作っていきたいと思っている。」
- 退職理由:「現職(前職)ではそれができない環境だと判断して退職することにした。」
- なぜこの会社なのか:「キャリアプランを実現できるのは、業界内でこういう強みを持つ御社だと判断した。」
- この会社で何をしたいのか:「業務に携わるなかで、この分野の専門性を身につけながらプロフェッショナルを目指したい。」
面接で「まだ経験やスキルが十分とは言えないな。」と判断された場合、企業側は「あなた、今後はどういうふうになりたいと思ってる?」と助け舟を出してくれます。(優しい面接官はだいたいこれを聞いてくれます。)
キャリアプランを持っていないと、この助け舟に乗ることができません。20代のうちに「自分はどういう専門性を身につけていって、その道のプロフェッショナルになるのか」というのを真剣に計画しておかなければ、転職先を見つけるのも厳しくなってしまうわけです。
志望動機の書き方がいまいち理解できない場合は、転職活動の方法を学べるセミナーを受講するのが効果的です。転職サイトでは「転職教室」や「はじめての転職」セミナーを実施しているので、転職活動を始める前に受けておくと、企業側が納得する志望動機を用意できるようになるでしょう。
ついでに読んでおきたい記事
転職で売るキャリアプランの考え方~思いつかない人へのヒント転職理由と志望動機は違う!【同じだと採用されない理由】志望動機を難しく考えすぎ【深く考えないと的外れで不採用】20代がハマりがちな転職理由の罠【キャリアアップが正解】まとめ
- 志望動機を恋愛に例えると、「なんで私なの?」ということ。
- 企業側が志望動機を必ず聞いてくる理由は、応募者が本当に業務に合っている人材かどうかを見定めたいから。
- 志望動機は形が決まっている。「なぜこの会社なのか」「この会社で何をしたいのか」を書けば、企業側の懸念材料を払拭してあげられる。
- 20代の転職希望者が困るのは、経験やスキルが少ないため、活躍できることを説明しづらい点。そこで20代の転職では、キャリアプランを持っていることが重要となる。
- 志望動機には「この会社が自分に合っている」と判断した根拠を含めるようにする。さらに、「この会社なら自分はこんな風に働けそう」とイメージできたことを付け加える。
- 本来は、志望動機があるから応募するのが筋。その会社でやりたいことがあるから志望するのが自然であり、面接でも企業側はそれを志望動機として聞きたいと思っている。
- 経験やスキルを売り込みできない第二新卒の場合は、キャリアプランを話して企業側の懸念を払拭する作戦を取ることになる。
- 志望動機の書き方がいまいち理解できない場合は、転職活動の方法を学べるセミナーを受講するのが効果的。