最終話
夢をあきらめろなんて言うつもりはありません
| 来栖嵐 (成田凌) |
転職の魔王様。転職エージェント『シェパードキャリア』の敏腕キャリアアドバイザー。左足が悪く、歩くときは杖をついている。 |
| 未谷千晴 (小芝風花) |
新卒入社の職場でパワハラに遭い3年弱で退職した25歳の求職者。転職活動を始めたが一旦休止し、『シェパードキャリア』のキャリアアドバイザー見習いとして働くことになった。 |
| 落合洋子 (石田ゆり子) |
未谷千晴の叔母で、『シェパードキャリア』の社長。転職活動を休止した千晴をキャリアアドバイザー見習いとして試用している。 |
| 滝藤航平 (駿河太郎) |
3年前に『シェパードキャリア』で転職して食品会社に勤務している。広告業界への転職を諦めきれず、再び転職活動を始める。 |
| 児玉雄一郎 (小関裕太) |
来栖の前職の商社時代に、一緒にエネルギー開発事業に携わっていた同期の同僚。 |
来栖には、怪我のせいで夢が断たれ商社を退職した過去があり、元同僚から「かつての夢だった海外事業」への誘いを受けて心が揺れ動きます。
一方、滝藤は広告業界への憧れを捨てきれず、未経験からクリエイティブ職への異業種転職を希望。しかし、突破口として提案されたコンペのために作成したポートフォリオは冴えず、才能の限界を突きつけられます。
夢を追うことの残酷さと、今いる場所で必要とされる喜び。来栖は滝藤に「今の仕事でもいいのでは」と助言し、自らもまたキャリアアドバイザーとして生きる道を選び直します。
二人が見つけたのは、今の自分にとっての「正解」でした。
夢を追うか、現実と折り合いをつけるか
この記事では、ドラマから学べる「未経験からクリエイティブ職への異業種転職を成功させる現実的なコツ」を解説します。

目次
未経験でクリエイティブ職に転職する現実
滝藤のように「クリエイティブな仕事をしたい」と憧れを持つ人もいると思います。私もWebサイトを作る仕事に憧れ、「いつかはWebの仕事をしたい」と思っていました。広告、Web、編集、デザイン、ライティング…どれも一見すると自由で楽しそうで、自己表現できる仕事に見えます。
クリエイティブ職に惹かれる理由は、
- 好きなことを仕事にしているように見える
- 自由な発想で評価されるイメージがある
- スキルが身につけば食いっぱぐれなさそう
といったところでしょう。実際、クリエイティブ職にはやりがいや達成感があります。私自身、現在はWeb系の仕事でサイト制作やデザイン、ライターをしていますが、自分の手がけたサイトと記事が検索結果に並び、多くの読者に届いているのを実感すると達成感を感じます。
しかし、こうした華やかなイメージの一方で、異業種からこの世界に飛び込むには高いハードルがあるのも事実です。そして、実際の仕事はけっこう泥臭さもあります。
ドラマで滝藤が目指していた広告プランナーという職種は、一般的に新卒入社から社内で経験を積みながら目指すもの。中途(転職)で採用されるには、同業での経験と実績がないとかなり厳しいでしょう。滝藤も3年前に一度、挫折しています。
クリエイティブ職への転職が難しい理由
- デザイン系:イラストレーター、グラフィックデザイナー、Webデザイナー、プロダクトデザイナー
- ライティング系:コピーライター、Webライター、編集者
- 映像系:フォトグラファー、アニメーター、動画クリエイター、映像編集者
- ディレクション系:クリエイティブディレクター、アートディレクター、Webディレクター、プランナー
クリエイティブ職への転職を難しくしているのは、仕事内容が多岐にわたり、それぞれが独立した専門職だからです。
クリエイティブ職は、仕事の評価が成果物に依存します。経歴や経験よりも、「何を作れるか」「実務で通用するか」が重視されます。そのため、異業種で積み上げてきた実績は、そのままでは評価につながりにくいです。
また、クリエイティブ職は、正解があらかじめ用意されていない仕事です。技術は教えられても、センスやアウトプットを再現させるのが難しく、企業側も未経験者を育てるリスクを取りにくい環境です。
そのため、即戦力となる経験者が優先されることになり、異業種からの転職はハードルが高くなってしまうのです。
異業種からクリエイティブ職へ転職する3つのコツ
- 20代までの若さを最大の武器にする。
- 正社員という雇用形態にこだわりすぎない。
- 独学しやすく実績を示せるWeb系を狙う。
未経験の異業種に転職する場合は、年齢が若いほど有利です。 一般的に20代までがポテンシャル採用の大きな目安となります。企業側にしてみれば、育成コストをかけても長期的に回収できると判断できるからです。
正社員以外の選択肢も検討できるなら、間口は広くなります。 まずは契約社員、派遣、あるいは副業案件などで実務実績を1つ作ることに注力します。実績さえあれば、その後の正社員採用へのハードルは下がります。
クリエイティブ職の中でも、Web系は比較的ハードルが低い分野です。学習ロードマップが確立されていて、自分のスキルを証明するポートフォリオ(作品集)を独学でも用意しやすいので、未経験でも採用に至るケースがあります。ただし、その分だけ競合も多いです。
仕事は『業界』より『職種』で選ぶ
転職において最も重視すべきは「業界」ではなく「職種」です。なぜなら、仕事の充実感は「どこにいるか」ではなく「何をしているか」で得られるものだからです。
滝藤:あの、せめてクリエイティブ職じゃなくても、事務でもなんでもいいんで、広告代理店に転職することはできないでしょうか?
来栖:夢を叶えるのと、同じ業界で働くのは、近いようで違います。
むしろ毎日、理想とのギャップを意識することになる。
滝藤は「事務でも何でもいいから広告代理店に」と口にします。クリエイティブ職という夢を諦めてでも、広告業界に執着します。
しかし、私はここに強い違和感を覚えました。なぜなら、転職において「業界」を優先し、「職種」を二の次にするのは本末転倒だからです。
新卒と中途の「視点」の違い
新卒の就職活動では、多くの人が「業界」から会社を選びます。社会人経験がないため、具体的な「職種(その実務)」をイメージできず、業界や社名が判断基準になるからです。
しかし、キャリアを積んだ上での転職は違います。
- 新卒: どの「業界(箱)」に入るか
- 転職: どの「職種(役割)」で貢献するか
転職において重要なのは、「自分に合う仕事(=職種)」です。
転職は「職種」が先、「業界」は次
本来、キャリア構築の優先順位は次のようにあるべきです。
- 職種: 自分が何をして、どんなスキルを磨きたいか
- 業界: そのスキルをどのフィールドで発揮したいか
もし、未経験の職種に転職したいのであれば、業界へのこだわりを一度捨てるのも一つの方法です。
たとえば、未経験でいきなり「広告代理店のクリエイティブ職」を狙うのは、二重にハードルを上げてしまいます。しかし、業界の条件を外せば、未経験でもクリエイティブ職として採用してくれる会社(一般企業のインハウスデザイナーや、小規模な制作会社など)が見つかる可能性もあります。
まずは入れる業界でその職種に就き、プロとしての実績を作る。その実績を武器にできれば、憧れの業界を目指せます。
「何をするか」を捨てて「どこにいるか」を選んでしまうと、転職の成功は遠のいてしまうでしょう。
転職で『夢』をどこまで追うか
転職において、「夢を追う」とは単に憧れを追うことではなく、現実の自分と向き合って「才能が最も活きる形」へとアップデートしていくことです。
来栖:夢を諦めろとは言いません。ただ、夢の形は変わることもある。
あなたの人生、このままでもいいんじゃないですか?
『転職の魔王様』の最終話では、来栖と滝藤、二人の夢とその後が描かれています。
商社マン時代の夢とは違う道で天職を見つけた来栖と、広告プランナーの夢に向かい動くものの現職場で仕事熱心になっている自分に気づいた滝藤。
クリエイティブ職への転職において、無視できない壁があるのは事実です。
- 才能の向き不向き: アイデアを形にする再現性があるか。
- 年齢の壁: 未経験から育成してもらえるポテンシャルが残っているか。
- 経歴の不マッチ: これまでの実績が、転職先でも武器になるか。
滝藤のように、実際に手を動かしてみることで自分の限界を知ることもあります。でも、これは決して敗北でないと思います。本気で夢を追ったからこそ、自分の適性がはっきりと見えたからです。
転職とは、単に憧れの職種に就くことだけがゴールではありません。
自分の才能が一番活きるのはどこか?
この問いに本気で向き合い、現実と夢に折り合いをつけた先に、自分にとっての転職の正解が見えてきます。
