第10話
転職はあなた1人の問題ではありません
| 来栖嵐 (成田凌) |
転職の魔王様。転職エージェント『シェパードキャリア』の敏腕キャリアアドバイザー。左足が悪く、歩くときは杖をついている。 |
| 未谷千晴 (小芝風花) |
新卒入社の職場でパワハラに遭い3年弱で退職した25歳の求職者。転職活動を始めたが一旦休止し、『シェパードキャリア』のキャリアアドバイザー見習いとして働くことになった。 |
| 落合洋子 (石田ゆり子) |
未谷千晴の叔母で、『シェパードキャリア』の社長。転職活動を休止した千晴をキャリアアドバイザー見習いとして試用している。 |
| 矢吹健一 (高橋光臣) |
外食産業のシステムエンジニアとして働く38歳。家族の将来を考え年収2倍を目標にして『シェパードキャリア』で転職活動を始める。 |
| 矢吹江美里 (大西礼芳) |
矢吹の妻。家事も育児も完璧だが、ワンオペによるストレスを抱えている。夫の転職に嫁ブロックを発動する。 |
矢吹健一は、外食産業でシステムエンジニアとして働いているが、家族の将来を考え年収2倍を目標にして転職活動を始める。千晴は、矢吹の資格と経験を活かして異業種のフィンテック業界への転職を提案し、矢吹は後日面接に行ってその場で好条件で内定を得る。
しかし、矢吹の妻が転職に強く反対して口論になり、家庭が緊張状態に。千晴は自分の未熟さに落ち込むが、来栖の言葉がヒントとなり、この転職は矢吹の家族と向き合う必要があることに気づく。
またこの話は、来栖と千晴の出会いに関係した過去が明かされます。

異業種に挑戦できるケース
千晴:こちらでリサーチおよび検討したところ、矢吹さんには未経験業種に挑戦することをおすすめしたいと思います。
矢吹:え?でも先日、「未経験だと厳しい」と。
千晴:原則はそうです。
ですが矢吹さんは、システムエンジニアとして特殊なスキルとキャリアをお持ちですから、異業種への転職は十分可能だと考えています。
千晴は、矢吹との面談で「未経験業界への転職限界年齢25歳」と話していましたが、異業種への転職も可能だと判断しました。
矢吹には、
- 経理システム設計の経験
- 金融絡みの資格(簿記2級・DCプランナー2級・FP2級)
という専門的な強みがあるからです。フィンテック業界への転職は異業種転職にはなるものの、給与水準が高いため矢吹が望む「給料2倍」が叶うと考えました。
このように、30代でも異業種転職に挑戦できるケースがあります。
汎用スキルを持っている
業界が変わっても使えるスキルは、大きな強みになります。
たとえば、
- ITスキル
- プロジェクト管理能力
- 経理・金融などの基礎知識
これらは特定の業界に依存しません。会社が変わってもそのまま活かせるスキルです。
転職先の会社が求めているスキルとマッチすれば、即戦力としてハマるでしょう。
私も経験がありますが、ITスキルは汎用性が高い傾向があります。
仕事の中身を応用できる
業界が変わっても仕事内容が大きく変わらない職種は、異業種転職と相性が良いです。
たとえば、
- 経理
- 人事
- システムエンジニア
- マーケター
もちろん、扱う商品や顧客は変わります。でも、仕事の進め方や役割は共通しています。
業界を変える場合は、「やってきた仕事がどれくらい共通しているか」を整理しておくと説明しやすいでしょう。
行動の実績がある
未経験業界への転職では、実務経験がないことが障壁になります。
そのため、行動に移している事実があれば、一応の経験の証明になります。
- 資格取得のための継続的な学習
- ポートフォリオの作成
- 副業や個人開発の取り組み
こうした行動は、意欲の証明であり、新しい環境でも努力できるという証明にもなります。
すでに動いている人なら、未経験の環境でも動ける…と見てくれるでしょう。
嫁ブロックの真意を考える

山口:これ、嫁ブロックですね。
犬飼:これが嫁ブロック…て何でしたっけ?
広沢:旦那が転職とか起業したいってときに妻に反対されてダメになるやつ。
ま、よくあるケースね。
ベテランキャリアアドバイザーの広沢にとって、嫁ブロックによって転職がダメになるケースは業界あるあるなのでしょう。
矢吹の妻は嫁ブロックを発動し、不機嫌な顔であたり散らかす姿は理不尽にも見えて不快感を覚えるほど。これを演じた大西礼芳の演技力はすごいです。観てて「こういう人、苦手だな」と思っちゃいました(笑)
しかし、嫁ブロックを不機嫌による理不尽な行動として捉えてしまうと、問題は解決しないし転職もできません。嫁ブロックを発動した妻の本心に向き合うことが大切です。
矢吹の妻にも嫁ブロックせざるを得ない理由がありました。
「家族のため」と言われると…
矢吹の妻:もういい加減にしてよ!
話にならない!何が家族のためよ!私の気持ちなんて考えてないんでしょ!
「家族のため」は本来、慮る言葉です。でも、夫が「家族のため」を免罪符にして何でも正当化してしまうと、妻は何も言えなくなってしまいます。
家族と過ごす時間がなくても仕方がない。家事育児がワンオペでも仕方ない。帰りが遅くて話し合えなくても仕方がない。…矢吹は無意識のうちに、妻の言動を封じ込めていたことになります。
そこに輪をかけて、「家族のために転職を決めたから」という事後報告を受けて、ついに不満爆発。
矢吹の妻には、「私の人生にも関わる決断なのに、私の考え抜きで、私の負担・犠牲を前提に、自分だけが家族のために苦労していると正当化した」ように見えたことでしょう。
本人の思いと家族の思いのズレ
千晴:だとしたら、「残業もハードワークも覚悟の上」なんていう矢吹さんの転職は、奥様の思いとは真逆だということになります。
矢吹は、残業もハードワークも覚悟してるし、年収が2倍になれば家族も文句ないだろうと考えました。
しかし矢吹の妻は、もっと家庭に目を向けて、子供たちとの時間も大切にしてほしいと思っていました。そのためなら自分も働きに出てもいいと。
矢吹の転職の行動は、家族の思いとは真逆に向いていて、完全にズレています。
矢吹の妻は、逆方向に向かう夫を「転職は認めない」「転職には反対」という強い言葉で制止するしかなかったのです。
解決は本心を知ることから
矢吹の妻:あなたが家族のために頑張ってるってわかってたけど…
もう少し家のことも見てもらって、その代わりに私も働きに出たいって思ってる。矢吹:そうなのか?
矢吹の妻:そしたらあなたも働き詰めじゃなくてよくなるし。子どもたちとの時間ももっと持てるでしょ。
矢吹の妻が嫁ブロックしたその本心は、落ち着いて話せる状況が作られたことでやっと本人から語られました。
このとき、妻から本心を力尽くで引き出そうとするのではなく、本心が自然と出てくる状況を作ることが大切です。
本心が出てくる状況とは、まだ自分が意思決定に加わることができる状況、そして夫が聞く姿勢を見せている状況です。
矢吹の妻の嫁ブロックは、「もっと家庭の方を向いてほしい。」という思いにあったことがわかります。
