第4話
あなたの人生の前では、
どうだっていいものなんですよ
| 来栖嵐 (成田凌) |
転職の魔王様。転職エージェント『シェパードキャリア』の敏腕キャリアアドバイザー。左足が悪く、歩くときは杖をついている。 |
| 未谷千晴 (小芝風花) |
新卒入社の職場でパワハラに遭い3年弱で退職した25歳の求職者。転職活動を始めたが一旦休止し、『シェパードキャリア』のキャリアアドバイザー見習いとして働くことになった。 |
| 落合洋子 (石田ゆり子) |
未谷千晴の叔母で、『シェパードキャリア』の社長。転職活動を休止した千晴をキャリアアドバイザー見習いとして試用している。 |
| 剣崎莉子 (岡崎紗絵) |
来栖の元恋人。現在の会社に勤務して10年目で、今の仕事に思い入れが強く誇りを持っている。交際中の漫画家の彼を支えるために収入を上げようと転職活動を始める。 |
転職の魔王様 第4話では、思い入れのある会社を辞めてまで年収アップを希望する転職活動の様子が描かれます。
剣崎莉子は、現職に長く勤めて思い入れがあり、その仕事に誇りも持っています。しかし、漫画家の交際相手との生活を想い、年収アップを望んで『シェパードキャリア』で転職活動を始めます。
そこで好条件を提示するライバル企業を紹介されて「転職する!」とは言ったものの、来栖に本心を見抜かれて辛辣に指摘されます。そして、本当は今の仕事が好きで、今の会社で働き続けたいという本心に返ります。
本当に転職すべきかどうかの判断基準と考え方がわかる内容となっています。また、来栖の過去に触れており、「転職の魔王様」のネタバレ回にもなっています。

目次
年収アップなら同業他社

剣崎:めちゃくちゃライバル企業。
来栖:もちろんそれは把握していますが、裏を返せば、先方にとって剣崎さんの経歴はとても魅力的だということです。
剣崎:え、この年収…本当?今の2倍あるけど…。
来栖:剣崎さんの経歴なら、もっと交渉の余地はあると思います。
転職エージェント『シェパードキャリア』で面談する剣崎莉子に、キャリアアドバイザーの来栖から、求人企業の候補が提示されます。その求人企業はなんと、剣崎莉子が勤める企業のライバル企業。
同業他社、ライバル企業に転職する実例はよくあります。とくに技術職では、現職よりも高額な給与条件を提示する「引き抜き」がよく行われます。
勤めている会社や職場で給料が上がらないなら、同業他社への転職を考えてみるのもよいでしょう。
同業他社からみれば、こっちがライバル企業。同業で通用する経験やスキル、さらに情報をごっそりと引き抜けるなら、多少高い年収であってもお買い得というのが同業の転職では当たり前の考え方なのです。
通信業界での実体験
私自身も勤務していた通信業界で、こういった引き抜きを近くで見たことがあります。
同僚が「転職するから今月で辞めるんだ。」と声を掛けてきたので、急にどうしたんだろうと思って話を聞くと、転職先は同業のライバル企業でした。年収もアップするとのこと。
口では「次の職場でも頑張って!」とは言いましたが、正直、素直に応援する気持ちにはなれませんでした。
私の所属部署は通信基地局の位置情報を扱っていました。その情報がライバル企業に渡るのではないかと思うと、平静ではいられませんでした。
逆に、ライバル企業からすると、専門的な経験とスキルそれに情報を手土産に持って来る転職者は大歓迎でしょう。給与条件も弾むはずです。
愛社心か裏切りか
千晴:あの。剣崎さん、さきほど会社のことを「私たち」っておっしゃいましたよね。
私も数ヶ月前まで広告代理店にいたんですけど、そのころは会社のことを「私たち」なんて思えることは無かったというか。
だから剣崎さんは今の会社をとても愛しているんだなと思って。
剣崎さんにとって今の会社が大事な場所なんだとしたら、後悔の無いようにじっくり考えていただきたいんです。
面談の中で剣崎莉子は自分の会社のことを「私たち」と表現しています。自然とそう言えるほどの愛社心を持っています。
それほどに思い入れがある会社を辞めて、年収アップのためにライバル企業へ転職する判断をどう考えるのかというのが、この第4話のテーマです。
ライバル企業に転職する様子を、裏切りのようにも感じる人もいるかもしれません。
本人にとって、その転職でかなえたいことは何か。ライバル企業に転職することで年収アップが実現して幸せになるのなら、それも正しい選択と言えるでしょう。
- 今の会社で働き続けていくことが幸せか。
- ライバル企業に転職すれば自分は幸せになるのか。
自分の気持ちに折り合いがつくまで、じっくりと考える必要があります。
会社を愛する時代は終わった
昭和の頃は、終身雇用が一般的であり、一度就職した会社で定年まで働くことが美徳のようにもなっていました。
勤めている会社の株を持ち、会社と社員が家族のように一体化した運命共同体であることが会社員の姿でした。
平成を経て令和になり、この感覚は大きく変わりました。
会社が社員の愛社心を育む文化は無くなり、転職は当たり前になっています。
勤めている会社のことがよほど好きでもない限り、働き続けなければならないという義務感を感じる必要はないでしょう。
転職することで自分の幸せが叶うのなら、同僚や上司の気持ちに遠慮することもありません。
転職エージェントの役目
- 転職エージェントは求職者を転職させれば利益が発生する。
- 最終的な決断はキャリアアドバイザーではなく、自分。
転職活動において転職エージェントを利用するとき、求職者側が心得ておくべきことがあります。
求職者を転職させることが利益だが…
剣崎:転職エージェントならさっさと私を焚きつけて転職させた方がいいんじゃないの?
来栖:おっしゃるとおり剣崎さんには、さっさとタキガワに転職していただいた方が弊社の利益になります。
剣崎:やっぱりそうなんだ!
来栖:ですが!
私たちの労働が無駄だとか、会社の利益だなんてものは、あなたの人生の前ではどうだっていいことなんですよ。
転職エージェントは求職者を転職させれば利益になります。そのため、キャリアアドバイザーはできるだけ早く次々と転職させていくことが実績になります。
ただ、求職者をやみくもに求人企業に押し込むようなことはできません。
キャリアアドバイザーがもっとも大切に考えるべきなのは、会社の利益ではなく、求職者の人生です。求職者の目の前にある人生の選択なのです。
転職エージェントを利用して担当のキャリアアドバイザーがついたら、そのキャリアアドバイザーが自分の人生を考えてくれているかどうかを見極めましょう。
キャリアアドバイザーは決断しない
剣崎:転職ってそんなことなの?人生を左右する大きな決断だと思うんだけど。
大き過ぎて自分だけじゃ決断できないからキャリアアドバイザーっていう仕事があるんじゃないの?来栖:そうです。転職はとても大きなものなんです。
だからご自分で決断していただかないといけないんです。
私たちは相談には乗りますが、あくまで決めるのはあなた自身です。
転職エージェントのキャリアアドバイザーに、仕事探しをすべて任せてもいいという気持ちになるかもしれません。
しかし、自分の気持ちを明確にしておかないと、決断を迫られたときに迷いが生じます。
- 何のために転職したいのか?自分は何が実現すれば幸せなのか。
- 提示された求人企業でいいのか?条件に納得できるか。
キャリアアドバイザーは、求職者の希望に合う求人を提示してくれますが、自分が本当に求めているものを伝えないとズレが生じます。
転職エージェントを利用をするときには、自分の本心を明確にして、それをキャリアアドバイザーに伝え、提示された求人企業に「転職します」と言えるだけの「確固たる自分」を持っておく必要があります。
ネタバレ:来栖はなぜ足が悪い?杖の理由

来栖は学生時代から優秀で、大学卒業後は商社に勤めて海外エネルギー事業に携わることを目標にしていました。
しかし、ある朝の出勤途中で車にはねられる交通事故に遭い、足に怪我を負います。
入院生活とリハビリを経て職場に復帰しますが、怪我の後遺症で左足が不自由になり杖を必要とされる状態になってしまいました。
来栖は、足が悪いという理由で海外エネルギー事業への参加を断られ、さらに総務部への移動を命じられて、ついに商社を退職した。…という過去を持っています。
ネタバレ:来栖と剣崎莉子の恋愛
来栖と剣崎莉子は学生時代からの恋人同士でした。
しかし、来栖が事故に遭ってから、二人の関係が狂い始めます。
来栖は、足が不自由で仕事も辞めた自分なんかでは剣崎莉子を幸せにできないと考えます。
剣崎莉子は、足が不自由になって心の荒んだ来栖を支えていくことに疲れてしまいます。
本音では別れたくない二人ですが、その思いをお互いに口にできずに別れを選んでしまいます。
来栖と剣崎莉子には、過去にこのような恋愛事情がありました。
